安全感の環(あんぜんかんのわ)
これを知らないと、子育てがうまくいかないといっても過言ではありません。もっと言うと、その後の人生を不安だらけにすることもあります。
かといって、難しいことではありません。実は多くの皆さんが自然にできちゃうことなんです。
今回は専門家の観点から、子育てにおける安全感の環について少しお話ししてみます。
とある日常の出来事
みなさん思い浮かべてください。
赤ちゃんを抱いたお母さんが、子どもを遊ばせるためにとある町の遊び場へやってきました。お母さんは部屋の片隅に子どもを抱いたまま座り、子供を遊ばせたいと思っています。
しかし子どもはなかなかお母さんから離れようとしません。
子どもはお母さんにしがみついたまま、周りをうかがっているようです。お母さんが子どもを床に座らせようとしても、子どもはすぐにお母さんのひざ元にしがみつきます。
しばらくすると、場所に慣れてきたのか周りにあるおもちゃに興味を持ったようです。少し離れておもちゃのところへ行こうとしますが、行こうとしてはお母さんの元へ戻ったり、お母さんから少し離れるたびに振返ってお母さんのことを確認しているようです。
やっとおもちゃのところへ辿り着きました、それでもまだお母さんのことを気にしています。そしてたまにお母さんに「あっあっ」と見てと言わんばかりにアピールしています。
やっと遊びに没頭して遊ぶようになりましたが、ここで事件が起こります!おもちゃを振り回したところ、手からおもちゃが滑り落ちて、不運にもそのおもちゃが頭に当たってしまったのです!子どもは突然のことにびっくりして、大泣きします。お母さんの助けを求めるかのように、お母さんの方を向きます。そしてお母さんもすぐに子どもに駆け寄って抱きかかえます。
よしよし、大丈夫だよ。痛かったねぇ…
子どもはなかなか泣き止みませんが、そのうち徐々に落ち着いてきて泣き止みます。しかし、さっきまで機嫌よく遊んでいたのに、泣き止んだからと言ってまたすぐに遊び始めることができず、お母さんにしがみついています。そして少しずつお母さんから離れて、また遊びを始めます。。。
どうですか?こんな場面を実際に経験されたり、簡単に想像できるのではないでしょうか?
これこそが安全感の環なのです!
不安⇔安心の行き来
はぁ!?という感じですよね💦この話を今から安心感の環に沿って解説してみます。
まず子どもは新しい場所に来て不安でいっぱいです。
初めての場所、初めてのおもちゃ、初めてのにおい…初めて尽くしの中で、子どもにとって拠り所となるのはお母さんだけと言えるでしょう。
そしてお母さんに抱かれながら、周りの様子を伺い、徐々に自分を脅かすものがなさそうだぞと言うことを感じていきます。子どもたちなりに身の安全が確保されそうなことがわかってこれば、少しずつお母さんから離れて、安全を確認しながら行動範囲を広げていきます。
段々慣れてきて、お母さんが見守ってくれていれば一人でも遊べるようになりました。
しかしここでアクシデント!あたまにおもちゃが当たってびっくりするし、痛いし、子どもにとっては大ピンチ!不安で仕方がないですよね。大きい子どもなら自分でお母さんのところまで行って助けを求めるかもしれませんが、赤ちゃんはしっかり大泣きすることでお母さんに助けてのサインを出し、助けてもらおうとします。
お母さんもそれに応じて、子どもの傍により、抱きかかえ、子どもをあやしなだめようとします。泣き止んだ子どもしばらく、警戒心が強くなり、またすぐに元のように遊ぶというわけにはいきませんが、しばらくお母さんに抱っこしてもらって、安心できたところで遊びに戻るかもしれません。
このように子どものこの時の心境は不安な状態から安心を得て活動を始め、不安になるとまたお母さんの元に戻って安心を得て…ということを繰り返していると言えます。
これこそが、安全感の環なのです‼(2回目)
安全感の環
さっきよりはイメージしていただけますかね?www
お母さんを子どもにとっての基地と考えて見ましょう。まさしくマザーベースです!
新しい場所で不安な時、子どもはお母さんの安全基地に身を置き安心感の充電をしています。
そして充電がある程度溜まるといよいよ活動スタートです!基地で溜めた安心エネルギーを消費しながら基地から離れ、自分で活動を始めます。
アクシデントが起これば、非常事態モードとなり、安心エネルギーが一気に消耗します!大ピンチです。エネルギーが少なくなれば、不安で仕方ありません。早く充電しないといけません‼そこで子どもは大泣きすることで母の助けを求め、基地をぐっと手繰り寄せ、すぐに安心エネルギーの充電をしようとします。
お母さんによしよしとなだめすかしてもらうことで気分も落ち着き、非常事態モードから通常モードに復帰。再び安心エネルギーを溜め始めて、溜まったら基地を出発するという構図です。例えが悪いかもしれませんが、ロボット掃除機のル〇バのようなイメージでしょうか。
このように安心を充電して、基地から離れ、充電がなくなりそうになればまた基地に戻って充電し、新たな探索を始め…という一連の円環的なサイクルを安全感の環と言います。
いくつになっても
今回は赤ちゃんとお母さんの例でお話ししましたが、実はこの安全感の環
いくつになっても繰り返しているんです!
そして基地になるのは保護者だけではありません。おじいちゃんやおばあちゃんかもしれません。保育園や学校の先生かもしれませんし、友達や彼氏彼女かもしれません。
私たちも何か困ったとき、不安なとき、つまりこころの安心エネルギーがなくなりそうになったとき、誰かに相談することで元気を取り戻すって言うことがありますよね?相談だけではなく、病院に行ったりすることも実は安心を回復しに行っていると言い換えることもできますね。
まさにこれらのことは安全感の環で説明できます。
この安全感の環がいくつになってもしっかり機能することで、多少心配なことや不安なことがあったとしても日々を過ごしていくことができます。
この土台を子どものころに親との間でしっかり作っておかないと、大人になっても上手に不安の対処ができずに生活に様々な支障をきたしてしまうことになりかねません。
まとめ
こころの安心エネルギーを充電することで基地から離れて、色んな活動ができ、ピンチになったときには基地に戻ってエネルギーを充電し、また次の活動へ出かける…このサイクルを安全感の環といいます。
そしてこの安全感の環は、子どものころから親との間でしっかり機能するように土台を作っておくことで、いくつになっても日々の生活を大きな支障なく送っていけるようになります。
自分が子どもの安心・安全の基地になれているのか?
この安全感の環の観点から子育てを振り返ってみることによって、新しい自分の子育てがみえてくるとおもうので、ぜひ皆さんも安全感の環、意識してみてください!
後記
いつもなら図などを用いて皆さんに説明する内容を言葉を中心に説明してみましたが、いかがでしたでしょうか?ちょっとわかりにくかったかもしれません。
でもこの安全感の環、これを起点にまだまだ色々考えて見ることができるので、また今後の投稿でお話ししようと思います。
それでは、ごきげんよ~
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